2017参加者の声
2017年7月11日
ハートセービングプロジェクトの活動に参加して
愛媛大学医学部附属病院 PHCU 看護師 小出沙由紀
今年も昨年に引き続きハートセービングプロジェクトの活動に看護師として参加させていただきました。
昨年、初めてモンゴルに行き、この活動のスタッフの温かさや現地スタッフの愛国心や向上心、モンゴルの国の雄大さに心を引かれ、次もぜひ参加したいと思っていました。
今年は首都ウランバートルから約400㎞離れたエルデネット、ブルガンの2県で検診でした。ウランバートルから車で約6時間。そこでは2日かけて約100人のエコー検査をしました。日本で普段使用しているエコーとは違う機器を使用するため、器械トラブルなどもある中、日本の医師やモンゴルの医師、ハートセービングプロジェクトのスタッフ、現地スタッフが協力して検診をすすめていきました。日本では、子どもが泣いて検査ができない場合には睡眠剤を使用することもあり、看護師が検査を介助する場面はあまりありません。モンゴルでは、エコー検査に怯え、泣いてしまう子ども達を安心させる手段がなく、ズゲーレ(大丈夫!)、モンダク(良い子だね!)と、カタコトのモンゴル語で必死に対応していました。また、たくさんの親子が施設に訪れ小さな部屋で検査を受けるため、受付、身体計測、問診、脱衣、エコー検査、結果説明、着衣、という一連の流れがスムーズにできるよう整え、誘導しました。
エコー検査では、モンゴルでは手術のできない心臓疾患が見つかるケースもあります。我が子の病気を知らされ、どうしたら良いのかと泣く母親に、かけるモンゴル語も分からず、ただ背中をなでることしかできませんでした。
しかし、カテーテル治療が受けられる動脈管開存症や肺動脈狭窄症が見つかるケースでは、長い検査に母親は不安そうな顔をしていますが、治療ができると聞くと、安心し笑顔で感謝の言葉を伝えてくれます。そんな時には、この活動はとても有意義であると実感することができました。カテーテル治療では、日本に留学をしたモンゴルのバヤルマー医師が、日本での学びを現地の医療スタッフに指導しており、昨年からの1年のあいだに、治療がとてもスムーズになっていることに驚きました。また、治療の流れに関しても、1日7~8例のたくさんの治療を安全に時間短縮して行えるよう、治療室の構造をうまく活用し、治療前後の患者、治療中の患者を同時にみる工夫がされていました。
しかし、病棟では、治療前の絶飲食が守られない、治療に使用する点滴が閉塞している、治療後に穿刺部から出血した際の対処が難しい、など、看護師が管理できる内容に関して、まだまだ一緒に改善できる部分があると感じました。
この活動に参加しているスタッフは本当にモンゴルの事が好きで、プライドを持って仕事をしています。日本では一緒に仕事をすることのない医師やスタッフと関わることで様々な経験談や価値観を聞くことができ、自分の世界を広げることができています。今後も、看護師である自分だからできることを見つけ、モンゴルの子どもやその家族が幸せになるためのお手伝いができたらと思います。ありがとうございました。