2024年9月ヘンティー地方検診
2024年10月25日
ヘンティー地方検診
2024年は年2回のモンゴル地方検診活動を行いました。5月にドンドゴビ・ゴビスムベル、そして9月はヘンティー県に赴きました。
9月の活動は地方で実施する地方検診班と首都ウランバートルで実施するカテーテル治療班(カテ3班)の合同でした。
9月14日土曜日、成田国際空港に11時に集合した参加者は午後2時40分成田発のモンゴルミアット航空で出発し、午後7時15分にモンゴルのチンギス・ハーン国際空港に到着しました。地方検診班のメンバーは田村真通先生をリーダーとして松尾久実代先生(大阪母子医療センター)、江原英治先生(長吉総合病院)、矢内俊先生(昭和大学病院)、工藤芳子先生(昭和大学病院)、ナースの谷口智子氏(札幌医科大学病院)の合計6名です。カテーテル班ともどもチンギス・ハーン国際空港到着後、ウランバートル市内へ移動して、バヤンゴルホテルにチェックインし、その後夕食をとってこの日は終了となりました。
初のセスナでの移動
翌朝5時にホテルを出発し、ウランバートルの国内線空港であるボヤント・オボー空港に6時到着。6時半に貸切のセスナ機で一路ヘンティー県を目指しました。
ウランバートルから合流するのは、モンゴルのNPOからウルカさんとオユンナーさん、国立母子保健センターからバッツーリ医師、ウランバートル市長の秘書さんです。今回の地方検診はウランバートル市が後援となってくださいました。というのもニャムバータル市長の出身地がヘンティー県というつながりがあったからです。上記のセスナ機はウランバートル市所有の11人乗りの小型機で、往復とも利用させていただきました。おかげで、ふつうなら自動車で6,7時間かかる移動時間が片道1時間と圧倒的な利便性の良さでした。
ヘンティー県立総合病院
訪問先のヘンティー県はウランバートルから東へ約300kmの県で、チンギス・ハーンの生誕の地といわれており、また死後はこの地に秘密裏に埋葬されたとされています。面積は80,311㎢、人口約7万人(2018)、県庁所在地はかつての名前はウンドゥルハーン、現在はチンギスと呼ばれる町で、ここに今回活動を行なったヘンティー県立総合病院があります。到着後まずはKhanburgedel Hotelにチェックインし、ここで朝食をとりました。その後、ヘンティー県県庁にて県知事と会見後、10時前に今回の活動の舞台となるヘンティー県立総合病院に到着しました。
院内の通路には、ハートセービングプロジェクトへの歓迎の意を表す看板幕が設置されていました。病院では到着後最初に病院長にご挨拶をし、その後、わたしたちが使える部屋へ移動して検診のセッティングをして、いよいよ検診が始まりました。
用意していただいた部屋はかなり広めでした。会場の入り口には受付を設置し、モンゴルのNPOのメンバーが受付作業を行いました。
中では、問診→その後二手に分かれてエコー検診 と3チームの構成で取り組みました。午後1時には病院が用意してくれていた出前のお弁当でランチ休憩をし、それが終わってから午後の部がスタート。エコー検診のうち江原チームには国立母子保健センターのバッツーリ医師、ヘンティー県立総合病院の成人循環器医サラン医師が加わり、江原先生はエコーと同時に2名のモンゴル人医師の指導にあたりました。バッツーリ医師はアメリカでも3ヶ月の研修を受けたとのことで、やる気いっぱいで今回の地方検診でも大活躍でした。松尾先生、矢内先生はそれぞれエコーを実施しながら合間をみてバッツーリ医師、サラン医師への指導に協力しました。田村先生は全体を監督しながら個別の状況の様子を見ていました。1日目は午後5時で終了しました。
来院者の内訳としては地元病院で受診していて今回われわれの訪問に合わせて初めてエコー検診を受ける方が8割、すでにモンゴル国立母子保健センターなどウランバートルの総合病院や北京の病院で治療を受けた、もしくは治療のための経過観察中の患者さんが2割でした。治療が終わっていた患者さんはお二人とも綺麗に修復されていました。
地元の遊牧民との交流
1日目の検診活動終了後、今回来院した患者さん家族が遊牧しているところがあり、ぜひ立ち寄ってくださいと言われていたので全員でお伺いしました。典型的な田舎の遊牧民のご家族で、ゲルのなかでアイラグ(馬乳酒)、ヨーグルトを固めたお菓子、嗅ぎタバコのおもてなしを受け、しばしモンゴルの旅情を楽しみました。モンゴルの夏の日暮れは夜9時過ぎなので昼間の時間がとても長く感じられます。
2日目は午前10時から検診を開始し、午後1時で終了。現地病院のサラー医師は2日目もわたしたちと一緒にエコー検診活動に参加しました。実施したエコー検診は、初日に88人、二日目に67人の合計155人でした。2日めの検診終了後は、県立病院の院長の招待でランチをとり、その後セスナに乗ってウランバートルに戻りました。今回、地方検診とはいえ移動時間は往復で2時間とたいへん時間にゆとりがもてたため、検診と指導にじっくりと時間をかけて行うことができ、また検診活動終了日も夕方にはウランバートルに戻りことができたので体力的にもとても楽でした。