2016年活動参加者の声
2016年7月5日
愛媛大学医学部の看護師 小出沙由紀さんは2016年4月27日から5月6日までの期間、モンゴル国地方検診活動と首都ウランバートルでの治療活動に参加されました。初めてのモンゴルでの活動で多くのことを経験されたようです。
この活動に参加して 看護師 小出沙由紀
この度、初めてハートセービングプロジェクトの活動に看護師として参加させていただきました。カテーテルというメインの治療の裏側に、事務手続きや移動の手配、物品の運搬、カンファレンスなど様々な仕事があり、それを支えるスタッフの力と熱い気持ち、また、モンゴルの方々の自国を愛する気持ちや、私たちへの丁寧な対応に感動しました。
小児に携わる一看護師として、プロジェクトに参加して感じたことは、やはり、子どもを思う両親の気持ちはモンゴルでも変わらないということです。手術や治療の環境が限られているモンゴルでは、ハートセービングプロジェクトにかける思いは更に強いかもしれません。エコー検査をし、医師が結果を日本語で話している場面を不安そうに見る両親の顔、カテーテル治療が無事に終了したことを告げた時の両親の安堵の顔。本人はもちろん、家族への声かけやサポートも看護師の重要な関わりですが、それを医療用語に長けた通訳の方々が担ってくれ、安心感を覚えたと同時に、言葉を習得し、サポートしたいという思いに駆られました。
また、文化や慣習を理解してプロジェクトに臨む必要があったことを感じました。「新生児は姿勢が良くなるように布と紐で固定するため、良肢位は保てない?」「男の子の頭をなでてはいけないため、泉門の確認は許可が必要?」「女の子は一定の年齢でピアスを開けるが、感染予防は?」など、国に伝わる大切な慣習を大切にし、それを知った上での関わりが必要であることを感じました。
そして、カテーテル治療では、物資がない中で治療をする技術、モンゴルの医師の熱心さに感銘を受けました。看護師も、物資がない中で工夫しているモンゴル式の方法などを優しく教えてくれました。一方で、病室の見学に行くと、カテーテル治療前で絶飲食の患者が羊肉を食べており、治療の順番が入れ替わる、前室まで連れてきた患者が手違いで治療ができなかった等の事例もありました。患者間違い防止、スムーズに治療を行うための援助、治療中の体位の工夫や、カテーテル前後の患者管理、プライバシーの保護、異常の早期発見など、看護師としてできることはまだまだあると感じました。モンゴルの看護師も意欲的で、「カテーテル治療が始まったばかりでどういう看護をしたら良いのか分からない。ぜひ日本のやり方を教えて欲しい。」と帰国後もメールでやり取りをすることになりました。
日本はとても恵まれています。通常の業務をこなす中で、使い捨ての物でも大切にする意識や、子どもたちが治療を受けられる環境に感謝するようになりました。 ハートセービングプロジェクトの活動はとても素晴らしいものです。この活動を通して、心疾患を持つモンゴルの子どもたちや両親の笑顔が増えることを期待しています。そして、今後も看護師として、活動に参加できれば幸いです。
貴重な経験をさせていただき、関わった全ての方々に感謝しています。ありがとうございました。
愛媛大学医学部附属病院 小児総合医療センター 看護師 小出沙由紀