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横綱日馬富士関、自治医科大学とちぎ子ども医療センターを慰問

2014年9月11日

横綱日馬富士関は日頃からハートセービングプロジェクトのサポーターをしてくれています。彼は、日本の医師たちがモンゴルの子どもたちを無償で治療してくれているそのお返しに、活動に参加されている医師の勤務する病院で闘病生活を送っている子どもたちを慰問したいと、申し出てくれています。今回は理事の片岡功一医師が勤務する「自治医科大学とちぎ子ども医療センター」を慰問しました。80人を超えるこどもたちそれぞれにプレゼントを手渡し、励ましの声をかけました。その後、遠方からの入院患児さんの家族宿泊施設であるマクドナルドハウスにも立ち寄り、ご家族との懇親のひとときを過ごしました。
理事の片岡功一医師からの寄稿がありますのでご覧ください。

『ようこそ!横綱・日馬富士』

自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児手術・集中治療部 片岡功一

さる 9 月 11 日、長年心待ちにしておりました横綱・日馬富士関の当院(自治医科大学と ちぎ子ども医療センター)への初めての慰問が、ついに実現しました。日馬富士関や朝赤龍 関は、ハートセービングプロジェクト(HSP)のサポーターとして、これまでも HSP メン バーが勤める病院に何度も慰問してくださっています。また、モンゴル国に救急車の寄贈な どもなさっています。実は、日馬富士関には、2 年前の九月場所後に当院に来ていただく予 定になっており、準備を進めておりました。ところが、目覚ましいご活躍により場所後横綱 に昇進なさり、多忙を極められたために病院慰問が延期となったいきさつがありました。そ の後、この延期を気にかけてくださり何度も慰問をご計画いただいたのですが、相撲協会の 顔である横綱は大変お忙しく、なかなか叶いませんでした。今回も、早くから「九月場所前 に必ず慰問します」とのお言葉をいただいておりましたものの、内心では「やはり難しいの では・・・」と危惧しておりました。そのため、HSP 事務局から慰問決定の知らせを伺っ た喜びはひとしおでした。

第 70 代横綱・日馬富士関は、9 月 14 日(日)から始まります本場所の直前、超多忙のス ケジュールをやりくりなさって 11 日(木)に来てくださいました。当日はお昼まで激しい 稽古をなさった後、車で栃木を目指してくださいました。ご出発の折、東京は大雨で、道路 が混雑し大変だったそうです。私は今夏、10 回目のモンゴル国渡航診療に参加いたしまし たが、毎回快く送り出してくれる病院スタッフ、特に上司である竹内護副病院長(麻酔科主 任教授)の理解と協力に支えられております。その竹内副院長自らが陣頭に立ち、横綱を出 迎えてくれました。現役横綱がいらっしゃるということで、スタッフも心が浮き立ち舞い上 がっておりました。日馬富士関は、長距離の移動後にもかかわらず、気さくに写真撮影や握 手に応じてくださり、温かな人柄に、お会いした皆が感激しておりました。病院到着後は、 まず、安田是和病院長、竹内副病院長、山形崇倫子ども医療センター長と面談していただき ました。HSP の活動について、宇佐美事務局長、アルタントーヤさんから説明してもらい、 パンフレットも渡しました。面談後、病棟に向けて院内を移動される横綱の姿に、突然遭遇 した人たちはびっくりしていました。

病棟は、4 階の慢性疾患病棟、3 階の外科系病棟、私が所属しております集中治療室(PICU)、 2 階の急性疾患病棟と順に巡っていただきました。日馬富士関は、各病棟を回られる度に「こ この病棟は、どんな病気の子どもが入院していますか?」と尋ねてくださいました。ご自身 の手形入りサイン色紙を沢山用意され、各病棟の師長に手渡してくださいました。現在も各 病棟に飾ってあります。また、子どもたちのためにお土産をご準備くださり、80 人を超え る入院患児全員に手渡しでプレゼントしてくださいました。患者さんのご家族も含め一緒

に写真撮影してくださったり、各病室を訪問してくださったり、細やかなお心遣いで子ども たちを励ましてくださいました。PICU では歓迎の看板の前で、看護師から花束を贈呈させ ていただきました。地元の下野新聞やとちぎテレビのほか、東京から日刊スポーツの記者も 帯同し取材しておられました。インタビューでは「(慰問によって)病気と闘う子どもたち に少しでも元気を与えることができたら・・・」と答えておられましたが、「全身全霊」を モットーとし、常々「(見る人に)勇気と感動を与える相撲をとりたい」とおっしゃる横綱 の、誠実さが伝わる言葉でした。その後、遠方からの入院患児の家族宿泊施設であるマクド ナルドハウスにもお立ち寄りいただきました。多くのボランティアさんや子どもたちに熱 狂的に出迎えてもらい、ハウスの中も見学していただきました。お接待にいただいた抹茶が お口に合うか少し心配でしたが、お菓子とともに美味しそうに召し上がっておられました。 またリクエストに応え、ボランティアさんが作った B 級グルメの「しもつけ丼」をほおば る姿もテレビ撮影させてくださいました。本場所前の大変お忙しい時期、時間の限られる中 でも、できるだけ多くの子どもたちを励ましたいと、精力的に各病棟を慰問してくださいま した。

身体の大きな「おすもうさん」は、「ぞうさんやきりんさん」が大好きな小さな子どもた ちにとって、強烈なインパクトがあるようです。(横綱を動物と並べて論じるのは失礼です が。)年長の子どもたちにとっては、「テレビで観る有名な人」が励ましに来てくださったと いう驚きも大きいようです。日馬富士関は、小さな子どもから年長の子どもまで取り囲まれ て大人気でした。日馬富士関について、今回間近で接したスタッフ皆が口をそろえて「とて も気さくで誠実」と印象を述べています。慰問の主役であります病気と闘う子どもたちはも ちろん、患者さんのご家族やボランティアさん、そして私たち病院スタッフの皆が、日馬富 士関から大きな「勇気と感動」を直接プレゼントしていただきました。

今回の慰問は、HSP の活動をより多くの方に広く知っていただく絶好の機会ともなりま した。横綱・日馬富士関、HSP 事務局の皆さまに心からお礼申し上げます。今後の日馬富 士関のますますのご活躍を、病院をあげて応援しております。私も HSP のメンバーとして 渡航診療などを通じ、モンゴルの心臓病の子どもたちにささやかながらお返しができれば と考えております。日本とモンゴル両国で病気と闘う子どもたちとご家族に、大きな幸せが ありますことを心よりお祈りしております。