理事長より
理事長 富田 英
2021年6月からNPO法人ハートセービングプロジェクトの理事長をおおせつかりました富田 英です。
モンゴル渡航事業そしてNPOのfounderである羽根田紀幸永世理事長のあとを引き継がせていただくのはいささか荷が重い感じですが、新理事の藤井園子先生、谷口智子さんを始めとする理事会、事務局にサポートしていただきこれからも活動を継続・発展していければと存じます。
私自身は2002年、まだNPOが設立される前の第3回渡航からモンゴルへの渡航に参加させていただいており、2017年からはウズベキスタンでの活動に参加させていただいています。羽根田先生のお誘いによりはじめて参加させていただいた頃は、母子センターの手術室にポータブルのCアームを持ち込んでのカテーテルで、機材も大部分が日本からの持ち込みでした。また、モンゴルでは心臓カテーテルは外科の領域であり、小児循環器医は手を出すことができませんでした(実はこの枠組はウズベキスタンでも同様で、旧ロシア圏の制度のようです)。今では母子センターに2方向心血管撮影装置が設置され、一部の領域とはいえ母子センター小児循環器医自身がカテーテル治療の術者となり、また多くの医療機器がモンゴル国内で調達できるようになりました。ハートセービングプロジェクトの活動はモンゴルに暮らす心臓病のお子さんを、現地で救うための活動としてスタートし、実際に多くのお子さんが治療を受けておりますが、この活動が現地医師や政治の意識を変革し、一つの国の医療供給体制自体に改革をもたらす一助のなったのは、ちょっと考えると凄すぎる副産物のように思います。
カテーテル治療の進歩は、治療に用いる新しい機器の開発と表裏一体です。許認可制度の厳しい日本では新しい機器の導入が遅れがちですが、ある意味この領域がオープンなモンゴルでは、今後、日本では入手できない新しい機器による革新的なカテーテル治療が行われるようになってゆく可能性もあるものと思います。モンゴル発の新しい情報がハートセービングプロジェクトを通じて日本に逆輸入される日も夢ではないと思います。with COVID、post COVIDの新しい活動形態を模索しつつ、日本-モンゴル双方向の活動を目指してIn-personの活動もレベルアップをはかってゆきたいと考えています。
終わりに、この活動は全国各地の個人、法人の皆さまからご支援、ご参加いただいたNPO会員の気合で成り立っています。これまでご支援くださった各位には心より御礼申し上げます。この活動が日本-モンゴル両国の小児循環器医療発展に寄与するよう精進して参りますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。