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ハートセービングプロジェクト

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ボランティア参加の学生さんからの報告

2023年7月1日

2023年5月のモンゴルでの活動には2名の医学生のかたが参加されました。
それぞれ地方検診チームと首都でのカテーテル治療支援チームに参加でした。お二人からレポートが届いていますのでご紹介いたします。

モンゴル小児循環器検診:2023年5月アルハンガイ県(ツェツェルレグ市)活動報告

今回のモンゴル地方都市検診は、首都ウランバートルから西へ約510㎞のアルハンガイ県で行いました。検診場所は県庁所在地のあるツェツェルレグ市のアルハンガイ県中央病院で行われました。

検診班の人員構成は、日本から渡航したメンバーとして、愛媛県立こども病院 森谷友造先生、大阪母子医療センター小児循環器科 松尾久実代先生、の小児循環器医師2名に、札幌医科大学付属病院高度救命救急センター看護師 谷口智子さん1名、島根大学医学部6回生1名の計4名に加え、モンゴル国立母子保健センター小児循環器の医師1名、現地NPO法人ハートセービングプロジェクトモンゴリア(HSP Mongolia)のスタッフ2名が加わった総勢7名となりました。

渡航メンバーは、53日昼に成田空港を発ち、現地時間19時にウランバートルに到着しました。54日朝4時半にホテルを出発し、約6-7時間を要してツェツェルレグ市に到着しました。アルハンガイ県中央病院に到着後にアルハンガイ県庁の社会施策課長のアマルトヴシン氏に出迎えしていただき、アルハンガイ県中央病院の院長に挨拶をしました。13時頃から検診を開始し、検診中には現地テレビ局の取材を受けました。18時に検診を終了し、19時半に夕食。その後マルチンホテルへ移動し、54日の検診は終了しました。55日は8時にホテルを出発し、8時半から14時まで検診を行い、その後、ツェツェルレグ市内を観光し、18時頃ウランバートルに向けて出発。道中で夕食を取り、24時頃ウランバートル市に到着しました。

5月のモンゴルはまだ気温が低く、日本の2月に近い気候だと感じました。また、モンゴルでは珍しくウランバートル到着時から降雨があり、アルハンガイ県に向けてのドライブの道中でも降雪に見舞われました。道中ではウランバートル出発から1時間程はきれいに整備された道路が続きましたが、それ以降は大きな穴をよけながらのドライブとなりました。朝4時半にウランバートルのホテルを出発したこともあり、往路の時点でかなりの体力を消耗していたので、調子を崩さないように、体調管理には十分注意をしながら、検診を行いました。

今回のアルハンガイ県検診では5/470名、5/533例の総勢103名の検診を実施しました。治療後の症例を含めて、VSD(心室中隔欠損症)19例、ASD(心房中隔欠損症)5例、PDA(動脈管開存症)7例、TOF(ファロー四徴症)2例、PFO(卵円孔開存)5例等の症例に対して検診を行いました(重複する症例を含む)。VSD4例、ASD3例、TOF2例、Wenckebach型房室ブロック1例、PH(肺高血圧症)1例を含めた13例を今後HSPで経過をフォローする方針となりました。

 また検診終了後には、現地の先生方とともに合同カンファレンスを行い、検診を受けられた患者さんについて、予後・治療計画・経過フォローについて話し合いを行いました。

島根大学医学部6回生 安田優人

モンゴル カテーテル治療支援チームに参加して

どきどきのフライトから始まった5日間、想像を遥かに超える壮大な経験をさせて頂きました。この感想文では、今回の活動で感じたことのうち、特に印象的なものを2つ記したいと思います。

今回参加の学生です

1つ目、今回初めて海外の医療を目の当たりにして、現地で提供できる医療の限界を知りました。日本ではさも当たり前かのように提供される医療が、当たり前ではないと言うことを、頭では理解しているつもりでしたが、現実を目の前にすると胸が苦しくなる場面が何度もありました。また、そういった現状の中で、限られた医療資源を最大限に活用して、子どもたちに最善の治療を提供しようと意見を出し合う先生方の姿をみて、得られる学びが沢山ありました。
治療前の不安な様子から治療後の安堵の様子まで、一連の過程はいずれも考えさせられるものであり、特に、治療を終えてほっとされているご家族の方々の様子を拝見して、胸が熱くなったことを鮮明に覚えています。将来、医療従事者として働く際、今回の活動で感じたご家族の方の想いや、先生方の熱意を思い出しながら、患者さんにひとつでも多くのことを還元できるよう励みたいです。

手術が終わって安堵するご家族と治療をされたドクターたち

2つ目、今回の渡航では言語の壁を身をもって知ることができました。言語が理解できないと、せっかくの学びの機会もなかなか物にできず、歯痒い思いをするのだなと、しみじみと感じました。
その一方で、言語の隔たりがある中でも、日本人の先生方から知識や技術を一生懸命に吸収しようとするモンゴルの先生方の姿勢はとても勉強になりました。(話は逸れますが、束の間の休憩の際、トーヤさんに通訳をして頂きながら、現地の先生とお話できた時間がとても楽しく、思い出に残っています。)今回のハートセービングプロジェクトの活動で、医療の知識を学べたことはもちろんのこと、関係者の方々、モンゴルの先生方、患者さん、日本の先生方など様々な方とコミュニケーションを取ることができ、とても有意義で楽しい時間を過ごすことができました。学生時代にこのような経験をさせて頂けたことは、私の一生の財産です。将来、ひとりでも多くの人の支えになれるよう、今回の経験を糧に日本でも勉強を精一杯頑張ります。この活動で関わって下さった全ての方々、本当にありがとうございました。

最後に、
待合いで待ってる子どもさんに、ニコッと笑いかけると、ニコニコッと返してくれるその可愛い笑顔がとっても印象的で忘れられません。モンゴルの子どもたちがこの先も笑顔で過ごせることを心から願っています。

患者さんが描いてくれた絵をプレゼントしてくれました

愛媛大学医学部4回生 清水杏実