第8回渡航
2007年8月16日
期間 : 2007年8月8日(水)~8月15日(水)小児循環器医師9名、臨床工学士1名、超音波検査士1名、カメラマン1名 計12名
第8回めとなる今回は8月8日から7泊8日の日程で渡航治療活動を実施しました。全員が成田に集合し、直行便でウランバートル入りしました。今回も大人数でしたが、すべてEnkhsaikhan医師の家族のアパート等にホームステイし、費用を安くおさえるようにしました。これまではウランバートルで活動を続ける班と地方検診班は途中まで同じスケジュールで動き、途中からそれぞれの活動に入りましたが、今回の地方検診先はウランバートルから660kmはなれたフブスグル県ということもあり、到着翌日からそれぞれスケジュールを別にして活動しました。
首都ウランバートルで活動をする班は、活動初日、モンゴル保健省を表敬訪問したのち、例年どおり国立母子保健センターに行き、同センターの小児循環器医師の元ですでに検査を受けている患者さんを再度、心エコー検査を実施したのち、合同でカンファレンスを行いました。翌日は例年、カテーテルを実施している国立第三病院にて院長と会見、そののちすでに入院待機している患者さんの心エコーを実施、その結果について第三病院の医師たちと合同カンファレンスを行い、3例の治療カテーテルを行いました。活動4日め、5日めは治療カテーテル、診断カテーテルを実施、合計で今回は12例の治療カテーテル(すべて成功)、8例の診断カテーテルとなりました。
一方、地方検診班は、首都ウランバートルから約600km離れたフブスグル県のムルンに向かいました。行き帰りとも、途中のブルガンで1泊して片道18時間という長旅でした。フブスグル県はロシアに程近く、フブスグル湖というモンゴル第二の大きさを誇る湖で有名な県です。そこの県庁所在地であるムルンにある県立中央病院で今回の検診を実施しました。あらかじめ地元医師によりリストアップされた患者に加え、日本からの医師団の来訪を聞きつけた家族がこどもを連れてやって来ました。約1日半の検診時間で94名が受診し、うち18名(うち成人が4名)が循環器系心疾患と診断、地元の医師にその後の処置などを伝えて帰途に着きました。
今回は特にカンファレンスと臨床での指導に力を入れました。本プロジェクトのゴールは、モンゴルの小児循環器医療の自立です。心エコー診断に関しては、本プロジェクト開始から6年が経過し、Byambasuren医師らのレベルは、複雑心疾患以外の診断においては日本人医師のレベルに近づいてきたといえます。カテーテル治療に関しては、成人のカテーテル検査医師が小児の心カテについて興味を持ち始めました。心臓外科医の育成はもともと我々の力が及ばないところですが、仮に可能としても、気が遠くなるほどの時間とかなりの資金を要します。外科手術の成績が不良なモンゴルの実状を考えると、モンゴルの子どもを救う現実的な方法は、まずは我々がカテーテル治療を実践していくことですが、その活動の一つひとつを現地医師との意思疎通を充分にとりながら行う、すなわち教育的側面に充分配慮しながら行うことだと考えています。その意味で、カテーテル治療と併行して、講義、症例検討会、地方都市検診を行っています。今後はこれらをさらに充実させていく予定です。