NPO法人
ハートセービングプロジェクト

お問い合わせ

第8回渡航

2007年8月16日

例年のとおり、成田から大量の医療消耗品、医療薬品などを手荷物として持ち込みました。モンゴル航空(Miat)から多少値引きしてもらったものの、エクセス料金だけで18万円ほどかかりました。
モンゴル・ウランバートルのチンギス・ハーン空港(一昨年の冬にブヤントウハー空港から名前が変わった)に到着。
持ち込んだ手荷物のピックアップも大変でした。
8月9日活動初日、モンゴル国外務省を表敬訪問し、アジア局長のフレルバートル氏と会見。われわれの活動について説明し激励を受けました。
例年診療の基地となっているモンゴル国立母子センターで今回の活動についてミーティングを行いました。
モンゴル国立母子センターのErkhembayarセンター長にご挨拶。前列左から4番目がErkhembayarセンター長、その右が同センター小児循環器医師Byambasuren医師、後列右から5番目が同じくTsatsral医師。
初日のモンゴル・日本の合同カンファレンスを終え、病院を後にする日本の医師たち。いよいよ明日から本格的に活動開始だ。
活動2日め。さっそく母子センターに待機していた患者のお子さんを診察する。
今回も日本のGE横河メディカルシステムの協力によりレンタルしたポータブル心エコー装置を用いて心エコー検査をする。
検査の結果を日本側医師とともに見守るモンゴルのバーサンジャブ教授。
心エコー装置は母子センターにも設置があるが、経年使用のせいか数分から数時間の連続使用で止まってしまう。一番左はTsatsral医師。最新の機材でエコー結果を確認している。
カテーテル施術前に心エコーの検査結果を見ながら事前カンファレンス。
国立第3病院心臓カテーテル室でのカテーテル治療。日本モンゴル合同で当たっている。
治療途中、カテーテルの治療効果判定のために心エコーを行い、モニターで状態を確認。一番左がダムディンスレン医師(国立第3病院)。
同じく国立第3病院心カテ室にて。羽根田医師のカテーテルをバーサンジャブ医師が補助。
治療の途中のつかの間の休憩タイム。
ウランバートルで活動するチームとは別に、到着翌日の8月9日の早朝ウランバートルを後にしてフブスグル県へ向かう地方検診チーム。
ウランバートルを出発してから途中ブルガンで一泊し、翌々日フブスグルに到着。のべ18時間の移動でした。ようやく到着したフブスグル県ムルンのフブスグル県立中央病院前にて。
フブスグル到着後、さっそく午後から検診活動開始。
あらかじめ地元医師の診療でリストアップされた患者さんを日本から持参した可搬型循環器用超音波診断装置で心エコー検査を実施。その数94名にも及びました。
地方検診チームが遠くフブスグルで活動中のころ、ウランバートルのカテーテルチームは対象患者に対してカテーテルを行っていました。
国立第3病院心臓カテーテル室でのカテーテル治療。第1術者山本医師、第2術者田村医師、第3術者ダムディンスレン医師(モンゴル国立第3病院)。
今回はカンファレンス、臨床での指導に多くの時間を割いたため、カテーテルの実数は治療カテーテル12例、診断カテーテル8例と昨年より減りましたが、モンゴルの医師たちの満足度も高かったように感じました。
左から羽根田医師、バーサンジャブ医師、田村医師、ダムディンスレン医師、山本医師。今回の最終のカテーテルを終えて。
今回の活動最終日、今回の治療と診断カテ後の症例検討会を行いました。
今回の渡航治療で元気になったお子さんと親御さんたちと、参加したモンゴル・日本の医師たち。
元気になったこどもたちから日本の医師たちへ記念品をいただきました。
こうして元気になった顔を見るのがわたしたちの一番の喜びです。
地方検診のチームもこの場に集合して日本の参加医師たちで記念写真です。
元気になったこどもたちの親御さんたちの顔にも喜びがいっぱいです。
最終日の午後は、駐モンゴル日本大使館を表敬訪問し、今回の活動についての報告を行いました。
帰国前日の夜、モンゴル人医師Enkhsaikhan医師のお宅で打ち上げを行い、モンゴル料理のおもてなしを受けました。

 

期間 : 2007年8月8日(水)~8月15日(水)小児循環器医師9名、臨床工学士1名、超音波検査士1名、カメラマン1名 計12名

第8回めとなる今回は8月8日から7泊8日の日程で渡航治療活動を実施しました。全員が成田に集合し、直行便でウランバートル入りしました。今回も大人数でしたが、すべてEnkhsaikhan医師の家族のアパート等にホームステイし、費用を安くおさえるようにしました。これまではウランバートルで活動を続ける班と地方検診班は途中まで同じスケジュールで動き、途中からそれぞれの活動に入りましたが、今回の地方検診先はウランバートルから660kmはなれたフブスグル県ということもあり、到着翌日からそれぞれスケジュールを別にして活動しました。
首都ウランバートルで活動をする班は、活動初日、モンゴル保健省を表敬訪問したのち、例年どおり国立母子保健センターに行き、同センターの小児循環器医師の元ですでに検査を受けている患者さんを再度、心エコー検査を実施したのち、合同でカンファレンスを行いました。翌日は例年、カテーテルを実施している国立第三病院にて院長と会見、そののちすでに入院待機している患者さんの心エコーを実施、その結果について第三病院の医師たちと合同カンファレンスを行い、3例の治療カテーテルを行いました。活動4日め、5日めは治療カテーテル、診断カテーテルを実施、合計で今回は12例の治療カテーテル(すべて成功)、8例の診断カテーテルとなりました。
一方、地方検診班は、首都ウランバートルから約600km離れたフブスグル県のムルンに向かいました。行き帰りとも、途中のブルガンで1泊して片道18時間という長旅でした。フブスグル県はロシアに程近く、フブスグル湖というモンゴル第二の大きさを誇る湖で有名な県です。そこの県庁所在地であるムルンにある県立中央病院で今回の検診を実施しました。あらかじめ地元医師によりリストアップされた患者に加え、日本からの医師団の来訪を聞きつけた家族がこどもを連れてやって来ました。約1日半の検診時間で94名が受診し、うち18名(うち成人が4名)が循環器系心疾患と診断、地元の医師にその後の処置などを伝えて帰途に着きました。
今回は特にカンファレンスと臨床での指導に力を入れました。本プロジェクトのゴールは、モンゴルの小児循環器医療の自立です。心エコー診断に関しては、本プロジェクト開始から6年が経過し、Byambasuren医師らのレベルは、複雑心疾患以外の診断においては日本人医師のレベルに近づいてきたといえます。カテーテル治療に関しては、成人のカテーテル検査医師が小児の心カテについて興味を持ち始めました。心臓外科医の育成はもともと我々の力が及ばないところですが、仮に可能としても、気が遠くなるほどの時間とかなりの資金を要します。外科手術の成績が不良なモンゴルの実状を考えると、モンゴルの子どもを救う現実的な方法は、まずは我々がカテーテル治療を実践していくことですが、その活動の一つひとつを現地医師との意思疎通を充分にとりながら行う、すなわち教育的側面に充分配慮しながら行うことだと考えています。その意味で、カテーテル治療と併行して、講義、症例検討会、地方都市検診を行っています。今後はこれらをさらに充実させていく予定です。